人知。人の力。

山川出版の日本史教科書(2009年版)をめくると、6ページに2万年前の日本の海岸線を示す地図が載っている。
樺太から種子島までが地続きであったとなっている。
津軽海峡については陸続きか切れていたかは論が分かれていると付記されているが、いずれにしろ今の海岸線とは大きく違っていたのは確かだろう。
本文を読むと、海岸線が変化した理由は気候が温暖になり海面が上昇したからとなっている。
だが、ウィキペディアの地震の歴史のページを見ると、記述の残るようになってからでもたくさんの地震が日本の周辺で起き続けていることが分かるから、海岸線や地形の変化にも少なからず地震も影響したと思う。
火山の爆発もあったかもしれない。
仮に気候変動だけが原因だとしても、1万年以上昔のことであれば、これも自然の力によると言えよう。
だから、歴史を真摯に受け止めれば、今回の地震と津波も想定すべきことだったと言えよう。

ある僧侶が今回の災禍に際し「無常」ということを語っておられたが、人の心だけのことではなく、物理的世界においても「無常」ということを考えていかなければならないのだろう。

加えて、今回もっと恐ろしいのは、原子力発電所の事故が重なったことだ。
地震と津波の被害だけでも未曾有と言われているのに、これにチェルノブイリやスリーマイルの事故が重なったのだ。
単に原発事故だけでも恐ろしいのだが、今回は原発事故の為に、地震・津波被害への本格的な復旧作業のスタートが切れないということが更なる危機だと思う。
地震と津波被害への対策ならば、少なくとも今より被害が増えることはないし、余震を除けばこれから悪化していくことはないから、復旧作業に専念できる。ゴールも、遙か先ではあろうが、決して想像できないわけではない。
だが、原発事故の対策にはゴール自体が見えない恐怖がある。
この恐怖が消えない限り、周辺地域だけではなく、東日本全体の復旧を開始できないと思う。

津波だけの被害なら、耕地は残っている。
整地し、また種をまけばいつか作物は実を結び、出荷も出来るようになろう。
これは何十年も先の話ではない。
すぐに復旧にあたるなら数年で達成できよう。

だが、原発事故の影響は、大地をじわじわと弱めていくのだ。復旧の可能性が時間の経過とともに低くなっていく。
幸いなことに、アメリカやフランスの首脳は、自国の原発推進政策を変更したくないこともあって、今回の福島原発の事故を何とか早急に収めようと全面的な支援を行ってくれている。
日本政府は変なプライドを捨て、今は世界の全叡智を使い尽くして欲しい。
人知の最たる原子力を克服するには人知を結集することが必須だ。

今は誰が良い悪いの話をしているときではない。
どうすれば放射線の拡散を抑え、地震・津波被害からの復旧を促進できるかを考えるときだ。





プロフィール

久保田塾・塾長

Author:久保田塾・塾長
東京都内、自宅にて個別指導、都内近県にて家庭教師をしています。
受験対策でも不登校児へのフォロー指導でも、私を頼る者全ての力になりたいと思っています。
でも、出来ない事は出来ないので、その時は、よりふさわしい先生をご紹介したり、次善の策がないかを模索したりします。
一番得意なのは中学受験の算数指導。「どんな問題でも解ける」という事より、「志望校に合格するにはどういう力を付ければ良いかを伝える」のが大事なのです。そのことを分かっていない保護者の方々、現役の塾講師、家庭教師の先生方があまりにも多い。
教育ネタが中心になると思いますが、趣味に走ったりもするかも。
前から興味のあったブログというのを始めて、ちょっとワクワクの「え~年のおっさん」です。
(2008年2月2日(先勝)・ブログ開始)

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