読書会で聞いた話

私は主に算数を教えていますが、大学での専攻は法社会学でした。
いわゆる文系という奴です。
そのせいか、今でも読書は大好きです。
だから、国語について行き詰まった子にも何らかのアドバイスをしてあげることも出来ます。
大したアドバイスではありません。
問題文の1行の字数を数えておくと、記述の解答で、○○文字と指定されたときに、何行くらいだなと見当を付けられるから書きやすいとか、書き出す前に、入れるべきキーワードを探したり、本文の中の関係ありそうな部分を丸で囲めといった、実に実利的なアドバイスです。
読書についても、読書が好きと言っても、所詮、自分の殻の中でしか本を選ぶことはできませんでした。
また、本当に一人だけで仕事しているので、読んだ本に何らかの感慨を持っても、誰とも語り合えることができませんでした。
そんな折り、図書館で読書会のチラシをみつけ、参加してみました。
実に面白かったです。
それからもう2年近く経ちます。
月に1度の読書会ですが、参加者が思い思いに課題の本についての感想を述べます。
その課題となる本も、参加者全員の多数決投票で決めるのですが、推薦される本自体が知らない作家のものばかりで、これもまたある意味で楽しみでもあります。
勿論、小説以外のものになることもあります。
人数が多くて、白熱した議論という形にはなりにくいですが、それぞれの参加者のコメントの端々にその方の人生が垣間見えたりして、本の世界だけにとどまらない交流というのがあり、単身自営業者としては、ある種の癒しの場とさえなっていると言えます。

先月の会の後、何人かの方と連れだって、喫茶店、その後、居酒屋にて放課後活動をしました。
部活のようなものですが、これがまた面白かったです。
その中で、小児科医を長年続けていらっしゃる方から、成年してからの小児ガンの再発で、若くして亡くなられた患者さんの話しを聞きました。
その方は、成年後の再発については発見が遅かったらしくて、外科的な対応は難しい状況だったようです。
そして、その方が選ばれたのは、抗ガン治療をせずに、自宅で静かに最期を迎えたいということだったとのお話しでした。
親しい親族にのみ見守られ、静かに死を迎えたというお話しでした。
思わず涙がこぼれてしまいました。
涙の訳は、そのお話しを伺っている途中から、ある音楽が聞こえてきたことも関係していると思います。
サティ作曲の「ソクラテス」、その第3曲目の「ソクラテスの死」の部分です。
歌詞の引用は長くなるので避けます。
プラトンの「パイドン」からの一節です。
何らかの運命の決定と思われるものにあえて抗うことをせずに、静かに自らの死を迎えるという姿勢は、その若者もソクラテスも同じだと感じました。
死に対し、どう接するか、それは紛れもなく、自分の人生をどう捉えるかということです。
私は算数を教えるだけの存在ですが、子どもたちと接している奥に、そうした思いがあることを大事にしていきたいと思っています。

余談ですが、私がサティのその曲を知ったのは高校生の時でしたが、その時は、歌詞もろくに調べもせず、ただ音楽の美しさだけに酔っていました。
それしか経験がないのにも関わらず、そのお話の最中にソクラテスの死についての音楽が聞こえてきたのです。
今回は改めてCDを用意し、その歌詞を熟読しました。
若い頃の体験はこうした形でも活きてくるのですね。

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プロフィール

久保田塾・塾長

Author:久保田塾・塾長
東京都内、自宅にて個別指導、都内近県にて家庭教師をしています。
受験対策でも不登校児へのフォロー指導でも、私を頼る者全ての力になりたいと思っています。
でも、出来ない事は出来ないので、その時は、よりふさわしい先生をご紹介したり、次善の策がないかを模索したりします。
一番得意なのは中学受験の算数指導。「どんな問題でも解ける」という事より、「志望校に合格するにはどういう力を付ければ良いかを伝える」のが大事なのです。そのことを分かっていない保護者の方々、現役の塾講師、家庭教師の先生方があまりにも多い。
教育ネタが中心になると思いますが、趣味に走ったりもするかも。
前から興味のあったブログというのを始めて、ちょっとワクワクの「え~年のおっさん」です。
(2008年2月2日(先勝)・ブログ開始)

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