日本語への感性。

池澤夏樹氏は作家としてより翻訳家としての方が馴染みがある。
最近もサンテグジュベリの「星の王子さま」(集英社)を読んだ。
本文は読みやすかったし、装丁も素敵な本だったが、何より題名についてのコメントに驚かされた。

原題はLe Petit Princeだから「小さな王子」となるわけだが、最初の訳者の内藤濯氏の題の付け方が見事なのでそれに倣ったというのだ。
池澤氏の指摘する、その根拠に唸った。

この本の「タイトルについての付記」から引用する。

『こういう時(ある人物を特定したい時)に日本では古来、その人が住むところの名を冠した。「桐壷の更衣」も「清水の次郎長」もこのゆかしい原理から生まれた呼び名であり、「星の王子さま」もこの原理に沿った命名だからこそ、定訳となったのだ。』

言われてみれば確かに。
指摘されるまで全く気付かなかった。
今年の鴎友中学の入試に出た(受験生はさぞびっくりしたことだろう)国定忠治も本名は長岡忠治郎というそうだが、生地の国定村に由来する名前の方がずっとポピュラーだ。

日本語の面白い一面を教えられた。




テーマ : 日本語教育 - ジャンル : 学校・教育

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